3月18日
チェルノブイリの犠牲者にセレン酵母を!
(「ナチュラル」1992年 Nr2より)
ハインツ・ショルツ
(Heinz Schoiz)
セレン不足のフィンランド人は、どのようにしてセレン摂取量を高めようとし
ているのだろう?セ
レンは、ガン、心臓病、関節疾患に、どのような効果をもたらすのであろうか。
チェルノブイリ周辺
で放射能に汚染した人々にセレン酵母を投与する時、医師はどのように期待する
のだろうか。こうし
た点について、「ナチュアリッヒ」本紙「ナチュラル」は、フィンランド人の専
門家、オッスイ・ク
ースニェミ(Ossi Kuusniemi)にお話しを伺うことができた。
クースニエミは、ヨーロッパ最大のセレン酵母製造会社で働いている。この会
社の職員は、4年前
から、ロシアの生物物理学研究所と共同で研究している。この成果は、チェルノ
ブイリの犠牲者にと
って極めて重要な意味を持っていた。つまり、酵母の中で有機的に結合したセレ
ンは、放射線障害の
場合に、プラスになる作用があるということが判明したのである。そのため、こ
の会社は、それぞれ
400個のセレン酵母の錠剤が入っている15万個の缶(全部で6千万錠)を白
ロシアに送った。セ
レンの調剤は、放射線に汚染された子供のためである。最近になってようやく、
KKW大災害の被害が
知られるようになった。180万人のウクライナ人と400万人の白ロシア人
(この人たちは、放射
能性降下物の70%を被っている)が、程度の差こそあれ、放射能に汚染されて
いる。ドイツ通信社
によれば、その中に著しい放射能汚染を受けた子供が16万人いる。子供達は、
慢性の扁桃腺炎、鼻
血、風邪の症状、甲状腺の病気、貧血、弱視に苦しんでいる。早産の数は大部分
の地域で倍増し、死
産の数は3倍に膨れ上がった。また、先天性の奇形は20%増加し、同様に白血
病も増えた。そこで
医学者は、これらのこの毒な人々がセレン酵母によって生き延びる可能性を高め
ることが出来るよう
に期待している。
何故セレン酵母なのか?
酵母の中で主にアミノ酸のメチオニンと結びついているセレンは、体の中で見
事なまでに利用され
ている。微量元素であるセレンは、酵素であるグルタチオンペルオキシターゼの
構成元素として、代
謝の時に生じる有毒物質を分解する事ができる。これは必要な事であり、そうし
ないと極度に反応力
がある物質から遊離基が生じてしまうからである。遊離基は細胞の構成成分と組
織を破壊する。有害
元素である水銀、カドミウム、鉛、ヒ素、放射性物質も、細胞の中で基を遊離さ
せる。セレンは、有
毒元素とガンを誘発する物質の作用を低下させることが出来る。
予防に有効である
セレンは、ガン・心臓・皮膚・関節の病気(関節症)の予防に有効である。さ
らに、以下の研究が
証明しているように、既に発病してしまっている病気にも影響を与える事が出来
る。つまり、ビタミ
ンEとセレンを組み合わせた調剤は、関節症でも総合リューマチ剤と同様に良い
成果を収めており、
静止・曲げ・運動の時の痛みが緩和された。
セレンの摂取が最善の状態になっていない
私たちは、毎日50〜100ミクログラム(1ミクログラム=100万分の1
グラム)のセレンを
必要とする。しかし、いつもこれだけの量をとれるわけではない。こうしたセレ
ン不足の原因になっ
てるのは、化学肥料として硫酸硫酸アンモニウムを過剰に利用すること、土壌に
降る酸性雨、微量な
有害重金属のカドミウム、鉛、水銀などである。その理由を簡単に説明しよう。
硫酸塩を含有する化
学肥料と酸性雨は硫黄を含んでいる。植物はこのセレンに緊密な元素を優先的に
吸収してしまう。セ
レンが豊富に含まれている北アメリカの穀物の輸入が減少した事、パンの消費が
減少した事も、さら
に僅かなセレン摂取を引き起こした。また、体内での解毒(浄化)の時も、絶え
ずセレンが消費され
る。「精製された」食物は、私たちの体内に、セレンをほとんどもたらさない。
また食物と飲み水の
中の重金属は、セレンの吸収に良くない作用を及ぼす。
保健衛生庁の申告では、スイス人はそれぞれ一日に60〜65ミクログラムの
セレンを吸収してい
る(申告見積である)。多くのフィンランド人は、極めて僅からセレン、つまり
一日にたった32ミ
クログラム程度しかとらない。これに比べてフィンランド北部のラップ人は、血
液の中のセレン値は
極めて高く、かなりの喫煙を習慣があるにも関わらず、他のフィンランド人の喫
煙者よりも肺がん発
生率が低い。セレン値が高いのは、トナカイの肉を相当食べるためである。
血液透析患者、エイズ患者、代謝疾患、喫煙者、麻薬中毒患者、腎臓病患者、
人工栄養を受けてい
る病院患者、アルコール中毒者、早産児のような危険度の高いグループの場合に
は、セレン供給がと
りわけ悪い状態にある。また、授乳を受けて子供でも、母親の体質が低セレンの
場合は、セレンの供
給が少なすぎる。こうした子供の場合(これは事故死した人で確認されたのだ
が)、セレン不足は心
臓を変化させてしまう。こうした危険性の高いグループには、セレンの補給が適
切であろう。
セレン濃縮が、、、逃げ道か?
フィンランドのセレン不足の地域で、どうすれば市民のセレン補給を改善して
いけるのか検討がな
された。まず、肥料にセレンを含ませた。成果は不十分だった。植物のセレン吸
収量は、非常に様々
だった。そこで無機質のセレン(ナトリウム+亜セレン塩酸)を飼料に加えたと
ころ、それによって
動物のセレン不足による病気が阻止された。セレン酵母の中でそうであるよう
に、有機的に結合した
セレンは、動物のより良く活用され、その結果、動物性産物のセレン含有量も一
層増えるということ
が後になって分かってきた。セレンを添加することで動物の育成はより良くな
り、滅多に病気にもな
らなかった。フィンランド人の食べ物は3分の2ほど動物性なので、これによっ
てセレンの摂取を改
善することが出来るのかもしれない。